今回は年収UPにフォーカスして、参考になる動画をご紹介します。
ご存知の方はいるかもしれませんが、島田紳助さんがNSC(吉本興行の芸人養成所)で語った伝説の講義です。
お笑いという異なるジャンルであっても、一流の人間から学ぶものは大きいです。
この動画の存在は、新卒入社した会社の先輩から教えてもらいました。
あまりの内容の凄さに感動し、動画を見ながら必死にメモを取ったことを覚えています。
ぜひお時間がある方は上のリンクからご覧いただければと思いますが、
今回は講演内容を僕なりに咀嚼し、ポイントをご紹介したいと思います。
「お笑いの教科書」をつくる
特に興味深かったのは「教科書」についてです。
お笑いには教科書がない。だから紳助さんはお笑いの教科書をつくろうと思ったようなのです。
紳助さんがやったことは地味ですが、先人のネタをノートに書き殴ること。
- 自分が面白いと思う漫才師の漫才をすべて録音する
- それを何組も集めて、漫才のネタを一言一句ノートに書き出す
- 集まったネタを見比べて「面白い漫才の法則」を見つける
紳助さんはこの方法で、1分間の『間』の数や、落ちのパターンの法則を見出し、気づいたことを相方にひたすらレクチャーしたようでした。
それを見て、いっつも寝る前に考えんねん。「どう違うねん?」って。オモロい漫才師はオモロい理由があるから、それを何組も見る。書くことで、色々見えてくるんよ。
島田紳助「紳竜の研究」
お笑いは感性の世界ですから、「こうだから面白い」という法則を見出すのは難しいと思います。ただ、良い漫才をたくさん見て、それを文字に起こすと法則性が見えてくるようなのです。
これは我々にも言えることです。
おそらく多くの職業において「教科書」と呼べるものはないはずです。この世界で抜きん出るためにどうするか?それは自分で見出さないといけません。
ただし、やみくもに考えても答えはでません。
ヒントは先人に倣うことです。
加えて、紳助さんはとても計画的でした。
やみくもにネタ作りを始めるのではなく、まず手を動かし始める前に、考えた。「勝ち筋の仮説」を持って取り組むことが成功の秘訣であると感じました。
物事の「構造」を捉える
先に紹介した「お笑いの教科書」にも当てはまりますが、
紳助さんの凄さは、お笑いという感性の世界に論理のメスを加えたことだと思っています。
実際に動画の中で「笑いとは」という説明が何度も出てきますが、さすがにしっかりと言語化できていることが伺えます。
- 笑いとは「音感」であり、ネタの台詞にも適切な「キー」がある
- 漫才では基本ベースになる「リズム」を探すことが重要
- 雪だるま式に笑いは増幅するから、ネタは繰り返すと面白くなる
このように言語化できるのは、しっかりとお笑いを研究したからでしょう。
勝ち筋を見つけるためには、物事の構造なり要素を見出す必要があると思っています。
たとえば、メジャーで活躍する大谷翔平さんの「マンダラチャート」はあまりに有名ですが、「ドラ1、8球団」を達成するために何が重要でどう取り組むべきなのか、彼なりに理解できていた証拠です(そうでないと、これは書けないですから)
自分の職業で、成功するために必要な要素を挙げられるか?
そして、そのために何をどう磨くべきなのか、どんな武器を持つべきなのかを考える必要があります。
「基礎的な技術」を磨き上げる
自身の漫才観をしっかり持っていた紳助さんは、どんな練習をしていたのでしょうか?
ネタ合わせよりも「基本的なことをしないといけない」と言います。
では、漫才の基礎練習とは何か。紳助さんはこう語ります。
漫才の練習を稽古場でするんやなくて、歩きながらしなあかんよ。人間ちゅうのは(中略)歩いてるリズムが喋るリズムになる。だから、相方と基本ベースになるリズムをまず探そうと。まずオモロいネタをやる必要はない。歩いて喋ってリズムを決める。そのリズムが自分らの体に染み付くまでやる。そこから始めて次よ。
島田紳助「紳竜の研究」
基礎が固まれば応用が効きます。
だからこそ、基礎は大事です。
ただ、スポーツや勉強ならまだしも、仕事における「基礎は何か?」これは案外難しい。
これは職業ごとにしっかり考える必要があります。
「コアとなる能力は何なのか」「要素を分解していったときに最小単位は何なのか」
お笑いの場合、それは「リズム」であり「音感」であり「キー」である、というのが紳助さんの結論でした。そして、ネタ合わせをせずに歩きながら喋る練習をした。
当時は常識からかけ離れた練習方法であり、非常識なアプローチは勇気の要る選択だったと思います。
漫才の稽古は一切せぇへんのよ。僕が持ってる漫才の教科書をあいつに授業するわけや。今から何が売れるか?どうすれば売れるか?だから俺はこうしたい、これを作りたい。それに半年付き合ってくれ。それで売れんかったら教科書が間違ってる。それはどうしようもない。
島田紳助「紳竜の研究」
どこに基準を置くか
紳助さんは自分たちの漫才のターゲットを「20~35歳の男性」と明確に決めていました。
なぜなら、自分と一番感覚が近い人を笑わすのが簡単だからです。
一方で、売れ始めた芸人の落とし穴として、若い女性について言及しています。
紳助さん曰く、若い女性に標準を合わせてはいけないとのことです。
こいつらも必要やねんな。でもめちゃめちゃ邪魔やねん。なんでか言うたら、こいつら笑かすのは簡単や。だから、こいつらを笑かしにかかった瞬間に俺たちは全て終わってしまう。(中略)あいつらが笑えば笑うほど、俺たちが一番笑かしたい人らが「何やってんねん。学園祭でやっとけや。もっと身内だけ集まってやっとけ」って状況になんのよ。
島田紳助「紳竜の研究」
自分のことを良く評価をしてくれる人、付き合っていて心地いい人は大切です。
営業マンでも接客業でも同じこと。優しいお客さんはそれはそれで必要です。
一方で、ビジネス上付き合うべき必要性があるなら、時に厳しい意見を言ってくれるお客さんにもしっかりと向き合うべきなのです。
重要なのはどこに基準を置くか、誰に向かって仕事をするかです。
そして、時に「自分が甘えたくなる人たち」を遠ざける勇気も必要だと感じました。
「XとYの分析」
紳助さんは売れるために必要な要素としてXとYという二つの要素を説明しています。
それは、「自分の強み」と「世の中のニーズ」です。
Xというのはまず自分で何が出来るのか?自分の戦力を必死で探す。ほんでY、これは世の中の笑いの流れ、時代の変化、これを研究するんや。だから、XとYを研究して分かったら、初めて分かるんや。「俺どうしよ?何をしよ?どんな笑いを作ろ?」
島田紳助「紳竜の研究」
紳助さん曰く、売れている人間は全員「世の中に自分を合わせている」と言います。
人は時にX(自分ができること)の観点だけでキャリアを描きがちですが、
市場におけるその人の価値とは相対的なものに過ぎません。
時代のニーズが変われば、己も合わせて変化させる、
そうでないと市場で生き残ることはできません。
芸能界でも一発屋っておるやん?なんで一回売れたやつが消えていくん?なんで売れたか分かってないんよ。たまたま、前からやってきた事が時代の変化に”当たった”だけよ。Yは笑いの変化やから動いていくんよ。だから最初に衝突した時のインパクトはあんねん。でも、そこに修正が効かへんのよ。
島田紳助「紳竜の研究」
おわりに
今回は島田紳助さんの「伝説の講義」で気になったポイントに絞ってご紹介しました。
ここに挙げた内容は極々一部ですので、是非本編をご覧いただきたいと思っています。
異なる分野であっても、やはり一流の言うことは大変勉強になります。
マーケティングにも通ずる部分があり、ビジネスにも充分応用可能な内容だと思っています。
是非以下の動画をチェックしてみてください。
では、また。