資産形成

【書評】普通の会社員でもできる日本版 FIRE

今回は FIRE 関連書籍のご紹介です。
山崎俊輔氏の『普通の会社員でもできる日本版FIRE』(ディスカバー出版)です。

「FIRE」は元々でアメリカで生まれたワードなので、他のFIRE本はアメリカ由来のものがほとんどです。

そのため、アメリカの制度に基づいた解説が主となりますが、本書は日本の社会保障や税制に基づいて解説しているため、日本人にとって最適なFIRE入門書と言えると思います。

\この本をおすすめしたい方/

・FIREを実現するための具体的な目標額が知りたい
・FIREを実現するために必要なアクションを知りたい
・資産の取り崩し方など、FIRE後に気をつけることを知りたい

本書の目次
第1章 FIREのキホン
第2章 もっと、もっと、もっと、稼ぐ
第3章 1円でも貯蓄額を増やすために節約する
第4章 貯めたお金をできるだけたくさん増やす
第5章 FIREのために絶対必要な知識
第6章 FIREを実行する3つのパターン
第7章 FIREに成功したあとのメンテナンス術

では、早速本書の内容をご紹介したいと思います。

稼ぎ、支出を削り、増やす。

著者はFIRE実現のたに大切なことは「第一歩」を踏み出し行動すること、としたうえで「稼ぎ、支出を削り、増やす」の3つについて言及しています。

特に「稼ぐ」ことにしっかり言及している書籍は稀だと感じました。

ほとんどのFIRE本は「低年収でも問題ない」をウリにしているせいか、
本気で「年収アップ」の必要性を説く書籍はあまりない印象です。

年収アップについては以下の4つのアプローチを提示しつつ、
3つ目の「時給を高める」アプローチはFIREには不可欠とのこと。

年収を上げる3+1のアプローチ
  1. 長時間働く(残業)
  2. もうひとつ仕事をする(副業)
  3. 時給を高める(人的価値を高くする)
  4. 共働きで稼ぐ(世帯の合計を増やす)

アシリパさん

確かに副業はハードルが高そう…

また、個人的に参考になった点は、
社内で給与を上げるには「社内規定を読み込むべき」という箇所です。

あなたの会社で、昇格はどういった条件で実現し、昇給はどの程度行われるか即答できるでしょうか。(中略)社員のほとんどは、自分の年収を決定づけるルールブックに目を通してもいません。「就業規則」「給与規定」などのルールブックを読まず、社内でキャリアアップを目指すというのは、ゲームのマニュアルを読まずに最短攻略を目指すようなものです。

山崎俊輔 著『普通の会社員でもできる日本版FIRE』

確かに社内規定は一応読んで理解はしているものの、
昇給や昇格のために必要な行動をブレイクダウンできてないなと反省しました。

FIREまでの具体的なルート

本書ではFIREの実現方法について3つのパターンを提示しています。

FIREの3つのパターン
  1. 40歳代でのFIRE(夢はあるが難易度が高い)
  2. 50歳代でのFIRE(日本のFIRE本に多い)
  3. プチFIRE(標準的な引退年齢より5年早いリタイアを目指す)

そのうえで、著者は実現可能性が高い「③プチFIRE」を推奨しています。

5年早いリタイアであれば、5年をやりくりすれば済むため、たとえば「1億円の資産」がなくても可能。

5000万円以上を確保できれば、「プチFIRE」は現実的なラインに乗るとのことでした。
なお、5000万円の内訳は以下です。

  • 5年間の生活費2000万円(年400万円×5年間)
  • 老後資金の2000万円
  • 予備としてプラス1000万円

5000万円と聞くと高額にも見えますが、実際の必要額は5000万円から退職金や企業年金の金額を引いたものが「自力で準備する目標額」です。

ひとまずのゴールとして「プチFIREをまず実現する」というのは納得感のある説明でした。

国が用意したiDeCoとNISAをしっかり活用することができれば、プチFIREは十分に可能です。プチFIREを実現することができれば、それはあなたの経済的自由の第一歩です。そこから世界が広がり始めます。まず、「さらに5年早いリタイアへ」と目標を大きくしていくことができます。(中略)さらに5年、ないし10年の早期引退に向けてがんばっていくことができます。

山崎俊輔 著『普通の会社員でもできる日本版FIRE』

実際に、つみたてNISA満額(月3.3万円)とiDeCoを月2.3万円を積み立て、年利4%で運用できた場合には、30歳からの30年間で合計3910万円の資産になります。

タイトルにもある通り、プチFIREは「普通の会社員でもできる」レンジと言えると思います。

社会保障制度や税制優遇に対する理解

公的制度、特に社会保障についてはFIREの必須知識として挙げています。

社会保障制度の負担や給付の仕組みについては、さらっておく必要があるでしょう。

たとえば以下のようなトピックスについて触れられています。

  • 早期リタイアは公的年金の受取額が大幅ダウンする
  • FIRE後には健康保険や年金保険の手続きが必要
  • 公的年金は破綻しない(単なる金融商品のセールストーク)
  • 大病になっても医療費負担の「月あたりの打ち止め」が発生する
  • どうしても保険が気になるなら都道府県民共済にしておく

本書ではカバーしきれない(それが主題ではない)ので、僕もしっかり勉強せねばと危機感を覚えました。

また、退職金制度についても言及しており、「自己都合退職時の給与カット規定」等、FIREを目指す人が注意すべき点についても触れられています。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は日本版FIREの入門書である『普通の会社員でもできる日本版FIRE』をご紹介しました。

特にターゲットを絞り込んでいる書籍ではないため、初めてのFIIRE本としては最適かと思います。興味がある方は以下のリンクからご覧ください。

では、また。

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